東京地方裁判所 平成元年(ワ)11247号 判決 1995年1月31日
原告
高橋英夫
右訴訟代理人弁護士
山口貞夫
同
佐渡春樹
同
出口治男
被告
阿部信彦
同
小島馨
右両名訴訟代理人弁護士
藤森功
主文
一 被告阿部信彦は、原告に対し、金三億円及びこれに対する昭和六三年八月二四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告の被告小島馨に対する請求を棄却する。
三 訴訟費用は、原告と被告阿部信彦との間においては被告阿部信彦の負担とし、原告と被告小島馨との間においては原告の負担とする。
四 この判決は第一項に限り仮に執行することができる。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告らは、原告に対し、各自金三億円及びこれに対する被告阿部信彦は昭和六三年八月二四日、同小島馨は同年同月二二日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告らの負担とする。
3 仮執行宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 訴外日本ノイホルム株式会社(以下「日本ノイホルム」という。)は、皮製品、衣料品及び日用雑貨等の通信販売を業とする会社であるところ、昭和六三年三月一六日銀行取引停止処分を受け、事実上倒産した。
被告阿部信彦(以下「被告阿部」という。)は、昭和六〇年一二月五日から現在まで日本ノイホルムの代表取締役であり、被告小島馨(以下「被告小島」という。)は、昭和六〇年九月一七日から昭和六三年一月一四日まで日本ノイホルムの取締役であったものである。
2 被告らの責任
(一) 共同不法行為による責任
(1) 被告らは、昭和六二年四月ころ、しからずとも遅くとも同年九月ころ、いずれも当時日本ノイホルムの取締役であった訴外(元共同被告)鎌田桂司及び同松本正則(以下「鎌田」、「松本」という。)と黙示に共謀した上、日本ノイホルムが昭和六二年九月ころには既に明白かつ著しく債務超過の状態にあって破産要件を満たすとともに仕入商品代金を支払う見込みが全くないのに、原告に対し「資金的に原告に迷惑をかけることは絶対ない。ノイホルムは常に極めて良い状態で経営されている。」「千代田生命グループや大手企業の資金的なスポンサーも多数ある。」「仕入先・取引先も多数あり、どんどん売れている。」などと申し向け、あたかも間違いなく代金が決済されるものであるかのように装い、原告をその旨誤信させた上、同年九月二一日ころから同年一一月三〇日ころまでの間、別紙一覧表(一)記載のとおり総額約二億五七九二万円にのぼる商品を日本ノイホルムの指定倉庫である訴外有限会社笹谷商事(以下「笹谷商事」という。)に納入させた。
(2) 被告らは、前記鎌田及び松本に加え、昭和六二年一一月三〇日に日本ノイホルムの取締役に就任した訴外(元共同被告)濵野芳行及び同島田恵夫(以下「濵野」、「島田」という。)と前記同様に共謀した上、原告が前記事実により錯誤に陥っていることを奇貨として原告に更に商品を納入させることを企て、昭和六二年一二月ころには日本ノイホルムの資産及び経営の状態がなお一層悪化した状態にあって原告から仕入れる商品代金を支払う見込みが全くないのに、あたかも間違いなく代金が決済されるものであるかのように装い、原告をその旨誤信させた上、別紙一覧表(二)記載のとおり総額約二億五三三五万円にのぼる商品を笹谷商事に納入させた。
(二) 商法二六六条の三の責任
(1) 被告阿部
被告阿部は、原告との取引を始めた昭和六二年四月ころには、既に日本ノイホルムが破産状態もしくは支払困難な状況に陥っており、商品代金の支払が出来ないことを予見しながら、又は支払が出来ると軽率に考えて、当時同社が株式会社千代田アド(以下「千代田アド」という。)に対して負っていた多額の債務や滞納税金の支払資金を得るため、原告から別紙一覧表(一)及び同(二)のとおり大量に商品を仕入れた上で、販売代金の回収の見込みを度外視して大量に売りさばいたあげく、昭和六三年三月一六日に日本ノイホルムを事実上倒産させた。
右事実によれば、被告阿部には、商法二六六条の三第一項前段にいう、職務を行うにつき悪意又は重大な過失がある。
(2) 被告小島
被告小島は、日本ノイホルムの取締役として、代表取締役が行う業務執行につきこれを監視し、必要があれば取締役会を自ら招集し、あるいは招集することを求め、取締役会を通じてその業務執行が適正に行われるようにする義務があるところ、代表取締役である被告阿部において前記の仕入れをなそうとしていたことを知り又は知り得べかりし立場若しくは状況にあったにもかかわらず、被告阿部の業務執行につき全く監視しなかった。
すなわち、被告小島は、日本ノイホルムの株主であった千代田生命保険相互会社(以下「千代田生命」という。)の子会社であって、原告が日本ノイホルムと取引を始めるまでは日本ノイホルムの最大の債権者であり、昭和六〇年ころ同社に対して約三億円の債権を有していた千代田アドから、当社は広告の大口得意先の維持確保のために、その後は得意先の経営状態の監視又は債権の回収等のために送り込まれた取締役であって、名目的な取締役に止まらない。
特に、昭和六二年春ころには、千代田アドは、日本ノイホルムに対し、約三億四〇〇〇万円の債権を有していて、その回収に奔走しており、被告小島も、日本ノイホルムへ一か月に一回位は出勤し現実に日本ノイホルムの行きづまった経営状態の報告を受け、日本ノイホルムの経営状態や原告からの仕入れが将来到底決済できないことを認識し、その内容を千代田アドに報告していた。
また、被告小島の右立場からして、取締役会の招集も可能であり、同人の言動は被告阿部に対して影響力を有していたものであって、取締役としての職責を果たすのに何ら困難はなかった。
なお、被告小島が指摘する日本ノイホルムの第七期(昭和六一年一〇月一日から昭和六二年九月三〇日まで)決算報告書は、粉飾に満ちたものであり、被告小島は、同社の実際の経営状況が危機に瀕していたことを認識していたのである。
右事実によれば、被告小島には、商法二六六条の三第一項前段にいう、職務を行うにつき悪意又は重大な過失がある。
3 被告らの前記2の行為により、原告の日本ノイホルムに対する売掛金は回収不能となり、原告は合計五億一一二七万円の損害を受けた。
4 よって、原告は、被告らに対し、共同不法行為又は商法二六六条の三第一項に基づく損害賠償請求として各自別紙一覧表(一)及び(二)の各取引による損害のうちそれぞれ一億五〇〇〇万円合計三億円及びこれに対する各被告についての訴状送達の日の翌日である、被告阿部は昭和六三年八月二四日、同小島は同月二二日から各支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
二 請求原因に対する認否(被告ら)
1 請求原因1の事実は認める。
2 同2の事実中、原告が日本ノイホルムに対して原告主張の納入をしたことは認め、その余の事実及び主張は否認ないし争う。
(一) 被告らの主張
日本ノイホルムは、通信販売事業を行う会社であるが、原告との取引を開始するまでは、販売対象とする商品を海外市場から仕入れたことはなく、被告阿部も右のような取引についての知識は全くなかったところ、海外商取引の専門業者である原告の方から、日本ノイホルムの従前の販売実績等を調査した上で、積極的に同社との取引を求め、原告において海外市場から仕入れた商品を直接日本ノイホルムの指定倉庫(笹谷商事)に陸揚げしてきたものであって、原告は日本ノイホルムと共同して右仕入商品に関する事業に当たっていたのである。
そして、日本ノイホルムが倒産するに至った最大の原因は、原告から販売用に納入された商品が、見本商品と異なり、大量の欠陥品を含むものであったため、在庫が増大し、被告阿部からの再三の申入れにもかかわらず、原告において輸入の中止等の是正策を講じなかった点にある。現実にも、原告から日本ノイホルムに対して昭和六二年九月二五日までに納入された商品の代金約一億八三〇〇万円は、その後昭和六三年一月一六日までに決済ずみであり、日本ノイホルムが原告主張のような経営状態になかったことは明らかである。
なお、原告は、日本ノイホルム倒産後の任意整理に当たり、債権者委員長の地位に就いたが、この際にも、日本ノイホルムとの取引に関しては、異議なくこれを認めた上で、手続を進めていたものである。
(二) 被告小島の主張
(1) 被告小島は、昭和六〇年九月当時、日本ノイホルムの株主であった千代田生命の子会社であり、日本ノイホルムの通信販売に伴う広告代理業務の注文を受けていた千代田アドの常務取締役であったところ、千代田アドと日本ノイホルムの要請によって、専ら広告宣伝業務のアドバイスを行うために、日本ノイホルムの非常勤取締役に就任したが、日常は千代田アドの常務取締役として職務を遂行してきたものであって、日本ノイホルムの日常の商品仕入業務については関与する立場になかった。
かえって、日本ノイホルムの第七期(昭和六一年一〇月一日から昭和六二年九月三〇日まで)の決算報告書等には、同社は右時期において黒字決算で経営しているものとされており、被告小島においても、右当時同社が経営危機に面しているとの認識はなく、また、同社と原告との取引についても把握していなかった。そして、別紙一覧表(一)及び(二)記載のとおり、原告と日本ノイホルムとの間の取引は、昭和六二年九月から同年一二月ころまでの約四か月という短期間中に、原告から積極的に大量の売り込みを行ったという形態のものであり、被告小島の前記のような日本ノイホルムにおける立場から見て、同被告においては、原告と日本ノイホルムとの間の右取引については認識の可能性もなかったのである。
さらに、被告小島は、日本ノイホルムの代表取締役であった被告阿部に対し、何回かにわたり取締役会の招集を進言したが、被告阿部は右に応じなかったものである。
(2) 原告の指摘する千代田アドの日本ノイホルムに対する債権は、被告小島が同社の取締役に就任した後の昭和六一年に発生したものであり、これについては、日本ノイホルムの経営状況が健全であり、支払能力も十分であるとの認識に立脚して、同年一二月、日本ノイホルムの事業拡大用の資金の調達に協力するため、これを貸付金に振り替えて、支払期日を繰り延べする処理を行っていたものである。
また、被告小島が日本ノイホルムの経営状況について受けていた報告は、被告阿部等が千代田生命に赴いて同社の担当者や千代田アドの代表者に説明するのに同席していたという形態のものであり、その際にも、原告主張のような債務超過についての説明はなく、また、原告との取引についての説明もなかった。
3 同3の事実は否認する。
三 抗弁(被告ら)
1 日本ノイホルム倒産後、任意整理が開始され、原告は債権者委員長に就任した。原告は、委員長たる地位を利用して、不法に、日本ノイホルムの在庫商品二億八九三九万〇〇四六円相当を支配下に移し、また、預り金一一六五万八八五五円を取得し、本件売掛金を回収している。そのため、損害額は、右各金額に相当する額が減少している。
2 原告は、本件に関し、和解金として、濵野及び島田から合計約一億二〇〇〇万円、鎌田及び松本から合計一七〇万円を受領して、損害の填補を受けている。
四 抗弁に対する認否
1 同1の事実中、原告が日本ノイホルム倒産後の任意整理の過程で、債権者委員長となったことがあり、被告主張の在庫商品及び預り金を取得したことは認めるが、在庫商品は競り売り時点の価格で合計四六〇万円に過ぎず、預り金については現在預り金の返還をめぐる別の訴訟が上告審に係属中であり法律関係が確定していない。
2 同2の事実中、原告と濵野及び島田との間で本件訴訟外で和解が成立したことは認めるが、和解の内容については否認し、原告と鎌田及び松本との間の和解については明らかに争わない。
第三 証拠
本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。
理由
一 請求原因1の事実(日本ノイホルムをめぐる当事者関係)は当事者間に争いがない。
二 同2(被告らの責任)に関しては、証拠(甲一ないし一四、一七ないし一二四、一二七ないし一三六、一四一、一四二、一四五ないし一五七、一六一ないし一六六、一六九、一八四ないし二二五、二四八ないし二五一、二五四、二五九ないし二六九、二七一、乙一、三、一一、一二、丙一ないし四、丁一、証人浅田貴子(以下「浅田」という。)、原告、被告阿部、同小島、元共同被告鎌田及び同松本)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる(甲第九一、第一二二、第二四九及び第二五〇号証は、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨から、真正に成立したものと認められる。なお、認定に供した主要な証拠を末尾に記載した。)。
1 本件取引前後の日本ノイホルム等の状況
(一) 日本ノイホルムは、昭和五六年二月二五日、当時被告阿部が代表者をしていたエコール・ド・ユーメイ株式会社(昭和四三年設立)の健康食品に関する通信販売部門を独立させるべく、被告阿部及び桐野卓也(以下「桐野」という。)らを発起人として設立された。
右設立に当たっては、被告阿部が代表取締役、桐野が取締役に就任したが、昭和五七年九月三〇日、被告阿部に代わって桐野が日本ノイホルムの代表取締役に就任し、被告阿部は、同年一二月一六日に取締役も辞任した。なお、桐野は、昭和五八年七月八日、日本ノイホルムで販売していたのと同種の商品を別ブランドで販売する目的で、日本ビューティー株式会社(以下「日本ビューティー」という。)を設立した。
ところで、日本ノイホルムの第三期(昭和五七年一〇月一日から昭和五八年九月三〇日まで)の売上高は、決算報告書の損益計算書では一五億八一七五万七五七〇円(経常利益八七八〇万五五一八円)、実際には一七億二三六一万七五一七円であったところ、第四期(昭和五八年一〇月一日から昭和五九年九月三〇日まで)は、決算報告書の損益計算書では三六億二七〇六万八二九一円(経常利益六億三八八六万五八七七円)、実際には三六億九四四〇万七二四三円に拡大した(甲九、一〇、二五四)。
他方、被告阿部は、昭和五九年秋ころ、その営業対象としていた健康食品に関し、薬事法違反の嫌疑で逮捕され、これに伴い、エコール・ド・ユーメイ株式会社は、昭和五九年一〇月ころ、約六億円の負債を抱えて、事実上倒産した(被告阿部)。
(二) 日本ノイホルムの業績が前記のように好調であることを受けて、昭和六〇年春ころ、日本ノイホルムの広告を受注していた千代田アドは、その親会社の千代田生命及び千代田生命の関連会社である株式会社事業開発センター(以上三社をあわせ、以下「千代田生命グループ」という。)とともに、日本ノイホルムからの受注高を増加させるべく、同社の発行済株式の九パーセントにあたる九〇〇株を取得した(甲一四七、乙一一、被告小島)。
(三) ところで、昭和六〇年六月二七日、厚生省及び公正取引委員会は、健康食品についての誇大な広告等が社会問題化しつつあることを受けて、これらの食品について、薬事法や不当景品類及び不当表示防止法に違反する広告を例示した手引きを作成し、日本健康食品協会に送り、不適正な広告をしないよう配慮を求めるとともに、広告を扱う業界団体に対しても、違法広告の掲載自粛に協力するよう要請した(以下「広告規制」という。)。
右に伴い、日本ノイホルムも、「元気がでる」「痩せる」などの用語を使用した広告やラベル表示ができなくなり、業績が急速に悪化し、日本ノイホルムの第五期(昭和五九年一〇月から昭和六〇年九月三〇日まで)の売上高は決算報告書の損益計算書では二六億九三八三万四五八六円(経常利益一億六九三六万一九九〇円)となった。
以上のような事態から、桐野は、被告阿部に日本ノイホルムの経営を委ねることを決意し、同年九月一七日、同社及び日本ビューティーの代表取締役を辞任し、被告阿部は、同年一二月五日に、日本ノイホルムの代表取締役に復帰した(甲六、一一、一七、二五九、二六一、二六六、被告阿部)。
一方、千代田アドの常務取締役であった被告小島は、桐野が日本ノイホルム等の代表取締役を辞任した同年九月一七日に、日本ノイホルムの取締役に就任した。その際、千代田生命は、被告小島の取締役としての役割は広告宣伝業務のアドバイスに限定し、他の業務、経営に介入することはしないとの約定書を差し入れさせた上で、同人の取締役就任を承諾した(なお、千代田生命グループは、大蔵省との関係で、融資を介して実質的に他企業を支配すると解されることを避けたものである。)(甲六、二六六、乙一一、一二、被告小島)。
(四) 日本ノイホルムにおいては、被告阿部が代表取締役に就任した昭和六〇年一二月から被告小島が取締役を辞任した昭和六三年一月まで、役員会は数回なされたが、取締役会としての議事録が作成されたことはなかった。また、これらの会合においても、過去の経営実績や将来の経営計画等について具体的な検討がなされたことはほとんどなく、商品の仕入、販売、広告、資金調達等も日常的業務の中で各部門において処理されていた。その間、被告阿部は、日本ノイホルムの業務全般を統括していたほか、自ら同社の資金繰りにあたっていた。
一方、被告小島は、千代田アドの常務ないし専務取締役であったところ、日本ノイホルムにおいては非常勤の取締役であって、担当業務はなく、報酬も受け取っていなかったし、同社内に執務用の机、椅子もなかった。同被告は、日本ノイホルムの経営状況についで、昭和六一年までは前記役員会に出席し、昭和六二年になってからは、被告阿部が月一回千代田アドを訪れ、同社の代表取締役石黒和夫らに売上状況を報告するのに立ち会ったものの、個々の仕入取引については報告を受けていなかった(乙一一、被告阿部、被告小島)。
なお、日本ノイホルムは、商品の種類によっては、第一ファーマシー、特撰館、銀座舶品館、バンキャリア(これは昭和六二年秋ころ、原告が代表者をしていた株式会社バンキャリアの名称を借用したものである。)などの名称も使用して営業していた(甲一〇七ないし一一四、一二三、証人浅田、被告阿部)。
(五) 被告阿部が代表取締役に就任して間もなく、桐野が、昭和六〇年六月末日まで日本ノイホルム及び日本ビューティーの総務部長であった本条晃と共謀の上、第三期(昭和五七年一〇月一日から同五八年九月三〇日まで)及び第四期(昭和五八年一〇月一日から同五九年九月三〇日まで)の各事業年度における日本ノイホルムの所得並びに昭和五八年七月八日から昭和五九年三月三一日までの事業年度における日本ビューティーの所得を過少申告した上、右両社の簿外資産を保有していることが発覚した。
そこで、被告阿部は、昭和六一年四月、所轄税務署に前記事情を説明し、渋谷税務署及び東京国税局は、日本ノイホルムに対する調査を開始した。
その後、桐野は、被告阿部に対し、日本ノイホルムの納税資金に充当するよう申し入れて、昭和六一年二月ころから同年四月ころまでの間に合計一億〇四七八万二五五六円相当の資産を、昭和六二年二月から同年四月までの間に合計二五七〇万三一八三円の現金を、それぞれ日本ノイホルムに返還した。
ところで、被告阿部は、日本ノイホルムの代表取締役就任後、同社の取扱商品の中心を、健康食品から一般雑貨に切り換えたものの、業績は好転せず、売上高は大幅に減少し(損益計算書の記載によっても前年比約一三億円減の一三億六〇〇〇万円余となった。)、大幅な営業損失を生ずるに至っていた。そこで、同被告は、谷繁次税理士から、右返還資産を預り金として計上すべきだと勧められていたにもかかわらず、右返還資産の大部分を売上高に算入するなどして、経常利益を五万五六六四円と計上する第六期の決算報告書(損益計算書)を作成するとともに、桐野の依頼に反して、右返還資産を約束手形の決済等の運転資金として使用した(甲一二、二五四、二五九、二六〇、二六六、二六八、二六九)。
(六) 昭和六一年一一月一二日、日本ノイホルムは、公正取引委員会から、同年四月に新聞等に掲載した包丁の広告が実際のものよりも著しく優良であると誤認されることを理由に、訂正広告を含めた排除命令を受け、同月二八日にその訂正広告を読売新聞等に掲載した(甲一八、一九)。
また、同年一二月一九日には、日本ノイホルムは、渋谷税務署長より、第四期(昭和五八年一〇月一日から昭和五九年九月三〇日まで)において、総額一億四五一二万六〇〇〇円の架空の広告費を計上していたとして、青色申告の承認の取消処分を受けた(甲五)。
(七) さらに、そのころ、日本ノイホルムは、経営状況が悪化し約束手形の決済資金等が不足するようになったため、被告小島を通して千代田アドに対し、資金援助や満期の到来した約束手形の書換えに応じるよう要請した。これを受けて、千代田アドは、昭和六一年一二月一〇日、支払延期期間に対応する年六分の割合による利息の支払いを条件に日本ノイホルム振出にかかる約束手形(金額五一一二万二二〇〇円、支払期日同月一六日)の書換えを承諾する旨回答し、右手形を支払期日昭和六二年一月一六日とする右同額の約束手形への書換えに応じたのを最初に、次々と手形の書換えに応じ、昭和六三年二月一五日には、日本ノイホルム振出の約束手形一四通(額面金額合計三億三七〇五万七四〇九円、支払期日同月一六日)について、一部金一〇〇万円及び延期期間に対応する年六分の割合による利息金の支払を条件に右各手形の支払期日を同年三月一六日とする各約束手形への書換えに同意した。このように、千代田アドは、支払延期期間に対応する利息や一部金の支払を条件に、日本ノイホルムの要請にしたがって手形の書換えに応じ、その書換え手形の合計金額は、最終的には三億三〇〇〇万円以上になっていた(甲一四五、一四六、二六六、二七一。ところで、右約束手形の書換えについて、被告小島は、日本ノイホルムが販売対象を健康食品から雑貨に切り換える際の開発費やテスト広告費用とするため、千代田生命が融資したものである旨供述している。日本ノイホルムの第七期の決算報告書(甲第一三号証)には、前年のそれ(甲第一二号証)と比較して、固定資産として計上されている商標権の価額が四七万円増加しているものの、その他には被告小島の供述する開発費を支出したことを認めるに足りる証拠はなく、被告小島の右供述は、全面的には信用しがたいが、前記のとおり日本ノイホルムは、昭和六一年一二月ころには経営状況が悪化したため千代田アドに対して融資等の資金援助を求めたところ、千代田アドは支払延期期間に対応する利息や一部内金の支払を条件に約束手形の書換えに応じてきたのであり、これに証拠(甲二六六、二七一、被告阿部、被告小島)を総合すると、千代田アドは、右手形書換えによって、実質的には日本ノイホルムに対する資金援助を行ったものと認めることができる。)。
なお、日本ノイホルムは、後に見るとおり昭和六三年二月一六日第一回目の手形不渡りを発生させた。
(八) 日本ノイホルムは、昭和六二年春ころ、リース料の支払い等に充てるため、唯一の所有不動産であるマンション(簿価二三一三万六一〇〇円)を売却し、同年五月二七日には、税務当局に対し、かねて課されていた日本ノイホルム及び日本ビューティーの未納法人税、重加算税、延滞税等両社で合計一億六三一五万一二〇〇円について、延納申請をし、毎月五〇〇万円宛分割して納付することとし、右支払いのために約束手形を振り出した(甲一二、一三、二〇、二六九、被告阿部)。
2 本件取引の状況
(一) 原告は、昭和五〇年ころから、京都市内の現住所において、サウンドなる商号を用いて、海外から婦人用装身具や雑貨等を輸入し、国内の問屋に卸売をしていた。
原告と日本ノイホルムの取引は、昭和六一年一月ころに、原告の営業担当者が、日本ノイホルムの仕入担当者を訪問し、婦人用雑貨商品の商談を成立させ、原告が右商品を日本ノイホルムに納入したのが最初である。しかし、その後は、原告の営業担当者から、同社に対し、象牙等の美術品の売り込みがあったが、同社はこれに応じず、両者間の取引は行われなかった(甲二七〇、証人浅田、被告阿部、元共同被告鎌田)。
(二) 昭和六二年三月ころ、原告の営業担当者である古川某(以下「古川」という。)が、日本ノイホルムを訪れて被告阿部や商品企画課長小林俊宣(以下「小林」という。)と面会し、原告の業務内容、取扱商品、海外の商品を輸入する能力等を説明しつつ、原告との取引を求めた。この際、被告阿部が、古川に対し、海外のスポーツ器具についてであれば取引をしたい旨述べたところ、古川は、原告はスポーツ器具の輸入もなし得るとして、被告阿部が原告と直接面会するよう強く勧めた。
同年四月四日、被告阿部は、原告方応接室で原告及び古川と面談し、海外のスポーツ用品の販売に興味がある旨を述べた。そこで、原告は、従業員の浅田に、台湾のスポーツ用品の展示会に関する資料を用意させた上、その内容を説明させたところ、被告阿部と原告は、台湾の台北市で同月中旬から開催される右展示会に行くことにした(甲一二九、一四二、証人浅田、被告阿部)。
(三) 昭和六二年四月二二日から二五日まで、被告阿部と原告は、右展示会に赴き、被告阿部は、広告資料ないしテスト販売に使用するため、その場でスポーツジム器等の商品を発注した。
帰国後、原告が日本ノイホルム宛に右商品等の説明書類を送付し、被告阿部において右説明書類等を検討するなどして、日本ノイホルムの仕入担当者から原告に対し電話やファクシミリで量販用商品の発注をした(被告阿部)。
(四) その後、昭和六二年六月から一〇月までの間に、原告と被告阿部は、台湾、韓国等に計四回海外出張し、展示会や原告の取引先をまわったが、そのうちの同年六月一二日から一九日まで及び同年七月一六日から一八日までの韓国(及び香港)出張では、原告は、被告阿部を、掛け軸の製作所、皮革製品を取り扱う商社及び展示会に案内し、同年一〇月一七日から一九日までの韓国出張では、原告は、被告阿部を、原告と関係のある陶磁器の製造工場に案内した。
これらの出張の際も、被告阿部は、広告資料ないしテスト販売用にサンプルとして発注したに止まり、大量発注は帰国後になされた。また、原告と小林は、工場の視察やクレーム処理のため、二回台湾に出張した(甲一三一ないし一三四、原告、被告阿部)。
(五) また、昭和六二年五月ころ、日本ノイホルムが、原告に対し、年売上高等の点で事実に反する記載のある英文の会社案内書(甲第一三五、一三六号証)(例えば、年売上高については、三〇億円とされているが、甲一一ないし一三号証によれば、日本ノイホルムの決算報告書上の売上高は、第五期で二七億円弱、第六期で一四億円弱、第七期で二四億円強に過ぎない。)を送付したが、右会社案内は、原告が、原告の輸入先に対し、原告の取引先である日本ノイホルムの宣伝をするため、原告の求めにより日本ノイホルムが作成したものである(被告阿部)。
(六) 日本ノイホルムが発注した商品は、概ね一ないし三か月後に納入され、その大部分は通関後日本ノイホルムの指定倉庫である笹谷商事に直接納品され、その代金については、納入日を基準として毎月二〇日締め、翌月一〇日に九六日後満期の約束手形を振り出す方法で決済されていた(証人浅田、被告阿部)。
また、原告から日本ノイホルムに納入された商品の代金額は、右取引の開始から同年九月二〇日までの間で、約二七万円(同年五月二〇日締め分)、約三一一五万円(同年六月二〇日締め分)、約二〇二一万円(同年七月二〇日締め分)、約三三九五万円(同年八月二〇日締め分)、約九七三五万円(同年九月二〇日締め分)と推移し、その後昭和六三年一月一四日までの間は、別紙一覧表(一)及び(二)記載のとおり、毎月一億円を越える程度の額に上り、総計約六億九四〇〇万円余となった(甲九一、二五一)。
(七) 被告阿部は、原告から購入した輸入商品の多くについて、テスト販売を行わないまま本格的な販売に踏み切った(鎌田は、テスト販売を経ることを主張したが、被告阿部は、海外商品については大量のロットでないと仕入れができないことや販売の機会を失したくないとの判断からテスト販売を経ないで本格的販売に踏み切ったものである。)。原告から納入された商品のうちスポーツジム器、皮ジャンパー等一部には発売直後に売上を伸ばしたものがあったものの、当初から需要の見込みがはずれたものや、発注後の需要減少、競合他社の安売り、顧客の心変わりによる返品、さらに硯セットや掛け軸の不良品の発生等により、売上は伸び悩み、また、追加注文による納品がなされた段階では需要が減退していたり、あるいは販売競争力を欠く等の状況が重なり、在庫が増大し、日本ノイホルム倒産直後の昭和六三年四月時点での清算貸借対照表上において約二億九〇〇〇万円の在庫商品があった。日本ノイホルムと原告との取引が本格化してからは、日本ノイホルムの仕入れの約八割が原告との取引によるものであり、前記在庫商品も、そのほとんどが原告から仕入れた商品であった。(甲一二七、被告阿部、元共同被告鎌田)。
(八) なお、原告の年間取引額は従来約三億円程度であったが、日本ノイホルムとの取引開始後、同社との取引は全体の約八割を占めた。また、同社への納入金額の一五ないし一八パーセントが原告の利益となった(証人浅田、原告)。
3 日本ノイホルムの倒産
(一) 昭和六二年当時、株式会社アベは、株式会社ニューポ(以下「ニューポ」という。)等とともに企業グループ(以下「アベグループ」という。)を構成しており、濵野は株式会社アベの代表取締役及びニューポの取締役の地位に、島田はニューポの代表取締役の地位にあった。
同年夏ころ、被告阿部は、日本ノイホルムの資金繰りが苦しいため、島田を通じてアベグループに対し資金援助を依頼した。その結果、同年一一月ころ、日本ノイホルムとアベグループは、アベグループにおいて日本ノイホルムの発行済株式の五〇パーセントを取得し、濵野及び島田が日本ノイホルムの取締役に就任するとともに、アベグループの担保提供等により日本ノイホルムが一〇億円程度の資金調達をすること及び日本ノイホルムが「特撰館」の名称を用いて行っている営業を別法人化することを合意した(甲一一六、被告阿部)。
そして、ニューポは、日本ノイホルムに対し、手形決済等の目的で、昭和六二年一二月末までに実質的に一億四〇〇〇万円程度の資金を融通した(甲一五七)。
ところが、右合意は、従来日本ノイホルムに出資していた千代田生命グループの事前の承諾を得ずに行われたため、同グループと日本ノイホルムとの関係は急速に悪化し、被告小島は昭和六三年一月一四日に日本ノイホルムの取締役を辞任するに至った(甲三、被告小島)。
(二) 前記日本ノイホルムとアベグループとの合意は、日本ノイホルムの経営状況や桐野の脱税問題の詳細をアベグループ側に明らかにしないまま行われたが、その後、右事情を知った同グループは、日本ノイホルムからその主力商品に係る営業を分離し別法人に移すことを企図し、昭和六二年一二月三〇日付けで、被告阿部と島田は、日本ノイホルムがニューポに対し「特撰館」の名称、在庫商品、商標権及びコンピューターソフトウェア・顧客データを四億一四九〇万七八六一円で売却する旨の会社資産譲渡契約書(甲第一四九号証)を作成した。また、このころから、日本ノイホルムの経理は事実上ニューポで処理されるようになり、同年一月一九日に被告阿部が入院した後は、日本ノイホルムの代表者印等も島田に引き渡された(甲一六九、被告阿部)。
(三) 一方、日本ノイホルムは、原告に対し、昭和六三年一月一四日ころ、約束手形の支払期日の延期(ジャンプ)を求め、これを契機に、右両者間の取引は中止された。
その後、日本ノイホルムは、同年二月一六日に一回目の約束手形の不渡りを、同年三月一六日に二回目の約束手形の不渡りを出して、銀行取引停止処分を受け、事実上倒産した。
(四) 原告が売買契約に基づき日本ノイホルムへ納入した商品の代金総額は、約六億九四〇〇万円余であるが、そのうち昭和六二年一二月二〇日までに納入された商品については、その支払のために日本ノイホルム振出の約束手形が原告に交付され、昭和六三年一月二〇日締めの納品分(八五六九万三七〇〇円)については、ニューポ振出の約束手形が原告に交付された。そして、右支払のため交付された日本ノイホルム振出の約束手形については、昭和六三年一月までに満期の到来した額面合計一億八二九四万九七五〇円分の約束手形(いずれも昭和六二年九月二〇日以前に納品された商品に係る支払手形)は決済されたが、その余の額面合計四億二四八二万六五一〇円分の約束手形は不渡り等で決済されなかった。また、ニューポ振出の約束手形については、その一部が不渡りとなった(原告は、そのうち五〇〇〇万円分は不渡りになった旨陳述している(甲二四九号証)。)(甲九一ないし一〇六、二四九、証人浅田、原告)。
三 そこで、以上を前提に本件取引当時の日本ノイホルムの経営状況について検討してみる。
1 日本ノイホルムは、昭和五六年、健康食品等の通信販売を目的として設立され、当時の健康食品ブームに乗って業績を伸ばし、同社の決算報告書の売上高及び経常利益についてみると、第三期(昭和五七年一〇月一日から昭和五八年九月三〇日まで)は売上高約一五億八〇〇〇万円、経常利益約八七八〇万円、第四期(昭和五八年一〇月一日から昭和五九年九月三〇日まで)には売上高約三六億三〇〇〇万円、経常利益約六億三八〇〇万円を計上するに至った(なお、右経常利益額は、当時の代表取締役であった桐野らが、売上の一部除外や架空広告費を計上して法人税捕脱を図った結果の数額であり、実際の課税対象となる所得金額(経常利益)は、第三期が二億七八四三万円余、第四期が七億七九四八万円余であったが(甲二五四)、後日桐野から日本ノイホルムに対して追徴課税の支払のために一億三〇〇〇万円程が返還されていること及び被告阿部の供述を総合すると、右捕脱額等が現実に簿外資産として日本ノイホルムに留保されていたかは疑わしい)。ところが、健康食品等の誇大広告が社会問題化し、厚生省や公正取引委員会が昭和六〇年六月に広告規制を行ったことなどから、健康食品等の売上が減少し、第五期(昭和五九年一〇月一日から昭和六〇年九月三〇日まで)の売上高は約二六億九〇〇〇万円、経常利益約一億七〇〇〇万円、第六期(昭和六〇年一〇月一日から昭和六一年九月三〇日まで)の売上高は約一三億七〇〇〇万円、経常利益約五万五〇〇〇円と売上高、経常利益とも大幅に減少したため、昭和六〇年一二月に、日本ノイホルムの代表取締役に就任した被告阿部は、通信販売の対象商品の中心を健康食品から一般雑貨へ移すことを計画実践しようとして、たまたま原告の担当者が日本ノイホルムに商談に来たことから原告を知り、室内健康器具、美術工芸品、衣料品、スポーツ用品等の一般雑貨を韓国や台湾等から輸入して販売することにし、原告との間で本件取引に及んだものである。
また、日本ノイホルムは、昭和六一年四月、桐野らの法人税法違反容疑関係で国税局等の査察を受け、同年一二月には青色申告承認取消処分を受けたりしながらも、代表取締役に就任した被告阿部は先のとおり健康食品から一般雑貨の販売への転換を図っていたが、資金繰りは楽ではなく、被告小島を通じて千代田グループに資金の融通を依頼していたところ、千代田グループとしては、融資に応ずることはできないとしながらも、日本ノイホルム振出の約束手形の支払期日を支払延期期間に対応する利息を徴すること等を条件に延期する(手形を書き換える)ことに同意し、昭和六一年一二月一六日には、支払期日を右同日とする額面五一一二万二二〇〇円の約束手形を支払期日同六二年一月一六日とする約束手形に書き換え、以後順次手形書換えに応じ、昭和六三年二月当時書換え手形は合計三億三七〇〇万円余となっていた。また、被告阿部は、昭和六二年春には、日本ノイホルムの唯一の不動産(マンション)を売却して、リース料の支払に充てたが、前記第三、四期の法人税の追加課税分一億四四〇〇万円余(日本ビューティ分を併せると一億六八〇〇万円余)の支払が生じ、同年五月二七日、右税金の月額五〇〇万円宛の延納分割納付の申請をし、分割納付することになったものの、日本ノイホルムの運転資金は不足し、被告阿部は、同年夏ころからアベグループに資金援助を依頼し、同年一一月末ころには、アベグループとの業務提携の余儀なくに至り、同年暮れころにかけて、同グループから一億四〇〇〇万円程度の資金援助を受け、同年暮れには、同グループのニューポとの間で会社資産譲渡契約を締結するに至った。一方、千代田生命グループは、千代田生命グループに対する右アベグループとの提携等が事後報告の形となったため、日本ノイホルムとの関係を絶つことにし、千代田アドの指示により被告小島は、翌昭和六三年一月一四日、日本ノイホルムの取締役を辞任した。
2 以上の事実に、証拠(甲一三、一四、一四八(以上日本ノイホルムの第七期決算報告書)、元共同被告鎌田及び被告阿部)及び弁論の全趣旨を総合すると以下の事実が認められる。
被告阿部は、代表取締役就任後、一般雑貨の通信販売に力を注ぎ、第七期の決算報告書によれば、同期の売上高は前年比約一〇億円増の約二四億二〇〇〇万円と第五期並に回復したが、仕入高、広告費もそれぞれ約四億円、六億円と増加し、経常利益としては僅かに二五一万円余を計上したにすぎなかった(被告阿部は、多額の費用をかけて宣伝広告を行い、売上金額自体は約二四億円と回復したものの、利益は僅かであり、売掛金(七億四〇〇〇万円余)の大部分を占める通信販売にかかる売掛金(六億八〇〇〇万円余)が、真実のものであり、キャンセル、返品等がなく順調に回収できたとしても、更に商品を仕入れ宣伝広告等を行って積極的に営業を展開するについては資金が不足していたものと推認できる。)。被告阿部は、このような経営方針 一環としてスポーツ用品、衣料品、美術工芸品等の海外輸入品の通信販売を促進すべく、原告に対して大量の注文を発し、商品の納入を受けていたが、通信販売の際には一般的に行われるテスト販売等をしなかったため、需要見込みの外れや、海外商品のため追加注文商品が納入されるまでにかかる時間の経過による購買者層の心変わり、商品の品質管理の不十分あるいは不良品による返品、競合他社の出現による商品の競争力の低下、顧客からのキャンセルなどが重なり、在庫商品が増大し(既に、第七期において、前年に比して一億一〇〇〇万円あまり在庫商品が増加していた。)、決済手形の資金等の運転資金にますます窮し、アベグループの一員になることで事態を打開し乗り切ろうとして、前記のとおり昭和六二年一一月末ころの業務提携、同年暮れの会社資産譲渡契約の締結に至ったが、同年二月にはアベグループが日本ノイホルムへの支援を打ち切った形となり、倒産するに至った。
3 ところで、原告は、被告阿部が、日本ノイホルムの第七期において粉飾決算をしていると主張するところ、右決算期においては売掛金が過去の第三ないし第六期に比して著しく多額となっているが、その大部分は通信販売による売掛金であり、それに対応して仕入高や広告費も大幅に増加していることは先に見たとおりであり、右売掛金が架空であると認めるに足りる証拠はなく、また経費が過小計上となっていることを認めるに足りる証拠もない。右決算期の決算報告書のなかには、例えば、貸借対照表を前年のそれと比較すると、仮払金が三九三五万九四四七円から一億九五〇一万三四一二円に急増しているところ、そのうち東京国税局への過年度税金仮払い一億四四四三万二二〇〇円(甲第一四号証の仮払金の内訳書)については、昭和六二年五月ころまでには更正決定により未納法人税、重加算税ないし延滞税が課されているのであるから、その旨を何らかの方法で決算報告書上明らかにすべきであるが(なお、本件においては証拠上右記載の有無は明らかでない。)、仮払金を計上したことをもって直ちに誤った記載であるとはいいがたいし、また、同様の比較においては、器具及び備品は、第六期の一六六七万七六九三円から第七期の一億四二一七万八二一三円へ一億二五五〇万〇五二〇円も急増しているところ、被告阿部は第七期の金額にはコンピューターのハードウェア及びソフトウェアの評価額が一億円以上含まれているとしながら、従前から存した右コンピューター関係機器の評価額が第七期に急増した理由を述べていない上、右コンピューターは、昭和六三年四月一二日現在の貸借対照表(甲第一二七号証、これは倒産後作成された清算貸借対照表である。)では七一〇八万九一〇六円と評価され、さらに、同年五月ころ、被告阿部が顧問的な立場にある株式会社ジェーオーシーに、二〇〇〇万円ないし三〇〇〇万円で売却されていることからすると、右評価額の適正さに疑問が残らないではないが、そのことから被告阿部ないし被告小島において第七期決算報告書類の重要事項について虚偽の記載をしたものとは認めがたい。
四 被告らの共同不法行為(詐欺取引)による責任(請求原因2(一))について判断する。
以上検討してきたところによれば、本件取引当時、日本ノイホルムの経営状況が相当悪化していたことは認められるものの、日本ノイホルムは、昭和六三年一月までは、約束手形の決済を行い、原告に対する支払分のみでも一億八〇〇〇万円余に上っており、また同社の第七期の決算報告書における損益計算書(甲第一三号証)では同期の売上高は二四億二四〇一万二五二七円とされており、月平均では約二億〇二〇〇万円の売上があったことになるところ、昭和六三年一月中の売掛金の回収状況の一覧表である甲第一二四号証によれば、右期間中に少なくとも一億三〇〇〇万程度の入金があったことが認められるのであって、これらの事実及び被告阿部の供述を総合勘案すると、日本ノイホルムにおいては、別紙一覧表(一)の商品が納入された昭和六二年九月の時点でも、月平均二億円弱程度の売上は一応確保し得ていたものと推認することができ、右時点において日本ノイホルムの経営が完全に破綻していたとまでは認めがたい。そして、日本ノイホルムが昭和六三年二月ないし三月にかけて倒産するに至った原因としては、当時同社の主力商品となっていた原告からの仕入れ商品の販売計画について、需要調査や在庫調整に不十分なところがあり、結局総仕入額の四割程度の商品が売れ残ったままの状態になった点と、同社が昭和六二年末ないし昭和六三年一月に、従前資金援助を受けていた千代田生命グループ又はアベグループからの援助を得られなくなった点にあるものと認めるのが相当である。そうすると、本件各商品の納入時点において、いまだ原告主張のような本件取引代金の支払が不能な状況にまで至っていたとは認めがたく、被告らが共謀して右の点について原告に対して欺罔したとする原告の主張は認めがたいものというべきである。
なお、日本ノイホルムが作成して原告に交付した英文の会社案内書(甲第一三五、一三六号証)には、日本ノイホルムの業績が誇張して記載されているものの、右は宣伝用に原告の依頼を受けて作成されたものであるから、右案内書の作成等をもって、原告に対する欺罔行為を構成するものとは認めがたい。
五 被告らの商法二六六条の三に基づく責任(請求原因2(二))について判断する。
1 被告阿部について
前記認定のとおり、被告阿部は、昭和五六年に日本ノイホルムを設立し、昭和六〇年一二月以降一貫して代表取締役の地位にあり、同社の業務全般を統括していたほか、同社の資金調達に直接あたっていた者であって、その立場上、本件取引当時同社の経営状況が悪化していた事実は十分認識していたものであるというべきである上、被告阿部は、業績回復を原告から購入する韓国、台湾等からの輸入一般雑貨の販売に賭けたのであるが、その際取締役でもあった鎌田らの反対を無視してテスト販売等を行わず、販売計画が不十分なまま危険を承知で大量買い付けをしたものであり、需要目算が外れた場合には原告に対する支払が困難になることを認識していたか、容易に認識しえたものと認めるのが相当である。そして、原告からの大量の買い付け商品は、一部にはヒット商品が出たものの業績を回復することはできず、結局大量の在庫を抱えるに至り、倒産したものであるから、右倒産にはアベグループ等の支援が打ち切られたことも原因となっていたとしても(その一因としては、被告阿部がアベグループとの提携に際して、日本ノイホルム側の経営事情等の詳細を明らかにしていなかったことがある。)、被告阿部には日本ノイホルムの業務執行について重大な過失があったものというべきである。
なお、被告らは、日本ノイホルムと原告との取引は両者の共同事業として進められたものである旨主張し、なるほど前記二2に認定した取引の状況、殊に日本ノイホルムの取扱商品の選択に関しては、原告も海外出張に同行してこれに当たっていたことからは、被告ら主張のような側面も否定しがたいが、なお、原告が、商品の具体的な販売計画の内容や、日本ノイホルムの資金調達方針についてまで、立ち入った関与を行っていたとまで認めるに足りる証拠はなく、被告阿部の責任を否定する事情としては採用できない。
2 被告小島について
被告小島は、いわば千代田生命グループから派遣されて日本ノイホルムの取締役に就任したものであり、日本ノイホルムにおいても、同被告のための執務場所はなく、同被告も月に数回千代田アドの広告受注活動のために日本ノイホルムに出社する(被告小島は表敬訪問したと供述している。)にすぎない非常勤取締役であったものである。ところで、非常勤の取締役であっても、取締役として取締役会を自ら招集しまたは招集を求め、代表取締役である被告阿部の業務執行を監視する義務があることは明らかであり、被告小島においては、昭和六一年一二月の千代田アドへの支払手形の書換え処理にも直接関与し、以後毎月一回程度、千代田アドへの被告阿部の売上状況の報告に立ち会い、また、日本ノイホルムの第五ないし第七期の決算報告書を受領しているのであるから、日本ノイホルムの経営状況が第五期以降悪化していることを認識していたということができる。
しかしながら、右千代田アドの手形書換えは実質的には千代田アドの日本ノイホルムに対する融資の側面を有していたものであるし、日本ノイホルムの各決算報告書については、被告小島は自ら検討するほか千代田生命や千代田アドの経理担当者に内容の検査をしてもらっており、右担当者からは格段の疑問も提示されなかったことから、決算報告書が日本ノイホルムの現状を反映しているものと考えていたこと(被告小島)、被告小島は、日本ノイホルムの主力商品が一般雑貨に移行していることに気付いていながらそれについては被告阿部に何らの意見も表明していないが(被告小島)、被告阿部において、通信販売の主力商品を健康食品から一般雑貨に切り換えようとしたこと自体は経営の裁量の範囲内であるということができるところ、代表取締役である被告阿部のなした個々の仕入れの時期、数量について逐一監視すべきものとまではいえないこと、原告からの購入商品の在庫が急激に増えたのは第七期決算期から倒産直前の昭和六三年一月にかけてのことであること、さらにアベグループとの業務提携については、千代田生命グループに秘して行われたことから、被告小島に対しても十分な情報の開示が行われていなかったと推認されることを考慮すると、被告小島において被告阿部の原告からの一般雑貨商品等の購入についての計画性を監視しなかったこと等に過失がないとはいえないが、取締役の職務を行うについて重大な過失があったとまでは認めがたいというべきである。
六 原告の損害と損害の填補(抗弁1)について
原告は、本件取引に関し、二3(四)で認定したところによれば、別紙一覧表(一)及び(二)記載の昭和六二年九月二二日以降同年一二月二〇日までに納品された商品の代金についてはその支払を受けていないことが認められるから、右商品代金相当の四億二四六九万〇五一〇円の損害を被ったものであるが(前認定のとおり未決済の日本ノイホルム振出の約束手形の額面合計は四億二四八二万六五一〇円である。また、同年一二月二一日以降に納入された商品の代金の一部が支払われていないことがうかがわれるものの、その金額を確定するのに的確な証拠はないう。)、証拠(甲一七〇ないし一八三)によれば、原告はその後動産の競り売りによる代金四六〇万円を取得したことが認められ、本件訴訟手続中の和解により原告が鎌田及び松本から和解金一七〇万円の支払を受ける合意が成立した事実は当裁判所に顕著であり、その後右支払が行われたものと推認できる。しかし、濵野及び島田からの本件訴訟手続外の和解により支払われた和解金額についてはこれを明らかにし得る証拠がなく、原告が日本ノイホルムの債権者委員長として取得したことに争いのない預り金一一六五万八八五五円の処理については、本件口頭弁論終結の時点で、原告の後任として日本ノイホルム債権者委員会の委員長に就任した株式会社トキワ宣弘社が原告となって本件原告に対し右金員の返還を求めた別件訴訟(一、二審とも本件原告が敗訴している。)が上告審に係属中である。そうすると、被告らの抗弁は動産の競り売り代金並びに鎌田及び松本との和解金合計六三〇万円の支払の限度で理由があるに過ぎず、原告の被った損害は四億一八三九万〇五一〇円となる。
七 以上によれば、原告の被告阿部に対する本訴請求は理由があるからこれを認容し、被告小島に対する本訴請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条本文を、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官宗宮英俊 裁判官八木一洋 裁判官中山雅之)
別紙
一覧表(一)
納入年月日
品名
数量
納入金額
62.9.22
ペット用のみ撃追首輪
60
114,000
62.9.26
ダイナミックジム
580
10,585,000
62.9.26
スターリングシルバー紅茶セット
1
64,800
62.9.26
スターリングシルバー梅花上鳥
1
18,700
92.9.28
掛軸・水墨山水
200
740,000
62.9.28
掛軸・彩色山水
200
800,000
62.9.28
掛軸・松上鶴
200
800,000
62.9.28
掛軸・開運跳鯉
200
800,000
62.9.28
掛軸・四季草花
200
880,000
92.9.28
掛軸・富士鷹
200
880,000
62.9.28
掛軸・高砂
200
880,000
62.9.30
ダイナミックジム
580
10,585,000
62.9.30
ダイナミックジム
580
10,585,000
62.9.30
ブラックカバー
300
120,000
62.10.3
犬用クリーンパック
50
29,000
62.10.5
油絵・花
100
300,000
62.10.5
油絵・海
100
300,000
62.10.5
油絵・山
100
300,000
62.10.5
油絵・街角
100
300,000
62.10.5
油絵・帆船
100
430,000
62.10.6
テレビスコープ30型
2100
7,350,000
62.10.6
テレビスコープ36型
650
3,770,000
62.10.8
ダイナミックジム
870
15,877,500
62.10.9
ダイナミックジム
290
5,292,500
62.10.13
ジェットガン用ホース
50
39,000
62.10.13
ザ・スリム
496
1,636,800
62.10.17
ジェットウォッシュガン
54
167,400
62.10.17
テレビスクリーン
14
56,000
62.10.20
掛軸・松上鶴
600
2,280,000
62.10.20
掛軸・四季草花
200
840,000
62.10.20
掛軸・富士鷹
300
1,260,000
62.10.20
掛軸・高砂
200
840,000
62.10.20
皮ジャケット・240
50
1,030,000
62.10.20
皮ジャケット・ロンド
100
1,990,000
62.10.20
皮ジャケット・ボンバー
50
575,000
62.10.20
皮ジャケット・501M
50
780,000
62.10.20
皮ジャケット・501L
50
780,000
62.10.20
皮ジャケット・ウルフ
50
985,000
62.10.20
皮ジャケット・マッチョ
50
1,175,000
62.10.20
毛皮ホワイトミンク
5
420,000
62.10.20
毛皮ブラウンミンク
5
420,000
62.10.20
毛皮シルバーフォックス
10
1,560,000
62.10.20
毛皮ブルーフォックス
10
576,000
62.10.23
羽毛布団セミダブル
900
7,650,000
62.10.23
羽毛布団ダブル
400
4,840,000
62.10.23
掛軸・彩色山水
396
1,544,400
62.10.23
掛軸・四季草花
300
1,260,000
62.10.23
掛軸・富士鷹
404
1,696,800
62.10.23
掛軸・高砂
100
420,000
62.10.23
掛軸・龍虎
500
2,300,000
62.10.26
毛皮ホワイトミンク
1
84,000
62.10.27
マルチダイナミックジム
1
21,600
62.10.27
シンプルダイナミックジム
1
14,300
62.10.27
ダイナミックジム
580
10,585,000
62.10.28
皮ジャケット・VSI
98
1,979,600
62.10.29
ダイナミックジム
580
10,585,000
62.10.29
ルームウオーカー
230
3,358,000
62.11.4
自転車・24インチ
1
11,700
62.11.4
自転車・26インチ
1
13,300
62.11.4
自転車・12段切替
1
13,000
62.11.5
ザ・スリム
2000
6,600,000
62.11.5
パーソナルポーター
1
8,200
62.11.5
掛軸・武者出陣
1
5,900
62.11.5
掛軸・赤富士
1
5,600
62.11.5
掛軸・昇龍
1
5,600
62.11.5
掛軸・鳳凰
1
5,600
62.11.5
掛軸・孔省
1
5,900
62.11.5
掛軸・四季花
1
5,900
62.11.5
掛軸・雲龍
1
5,900
62.11.7
皮ジャケット501
2
31,200
62.11.11
ダイナミックジム
290
5,292,500
62.11.13
皮ジャケット240
151
3,110,600
62.11.13
皮ジャケットボンバー
152
1,748,000
62.11.13
皮ジャケット501
101
1,575,600
62.11.13
皮ジャケットウルフ
149
2,935,300
62.11.13
皮ジャケットマッチョ
150
3,525,000
62.11.13
皮ジャケットロンド
100
1,990,000
62.11.13
皮ジャケットVSI
1
20,200
62.11.13
コンパクトミシン
1300
17,680,000
62.11.13
ステレオヘッドホン
1
1,600
62.11.14
ダイナミックジム
870
15,877,500
62.11.14
ラバーウェイト
400
120,000
62.11.14
テレビスクリーン
73
255,500
62.11.17
印鑑男物認印
1
2,300
62.11.17
印鑑男物実印
2
6,200
62.11.17
印鑑女物認印
1
1,850
62.11.17
印鑑女物実印
2
5,800
62.11.17
印鑑会社実印
2
20,000
62.11.17
印鑑特撰館実印
2
20,000
62.11.17
ザ・スリム
9
29,700
62.11.18
ダイナミックジム
290
5,292,500
62.11.18
ダイナミックジム
290
5,292,500
62.11.18
ダイナミックジム
580
10,585,000
62.11.18
オートケア
2
14,400
62.11.18
大工道具セット
1
1,700
62.11.19
油絵・花
300
900,000
62.11.19
油絵・岸辺
300
900,000
62.11.19
油絵・湖
300
900,000
62.11.19
油絵・パリ
300
900,000
62.11.19
油絵・新天地
200
860,000
62.11.19
オートボディーカバー
1
20,800
62.11.20
皮ジャケット・501M
150
2,340,000
62.11.20
皮ジャケット・501L
50
780,000
62.11.25
硯セット
10
85,000
62.11.25
犬首輪
72
43,200
62.11.27
硯セット
2000
16,200,000
62.11.27
ザ・スリム
2500
8,250,000
62.11.27
ジェットガン用ホース
25
19,500
62.11.28
ジーンズスーツ
2
21,800
62.11.28
ジーンズジャンパー
2
12,400
62.11.28
ジェットウォッシュ
1
2,700
62.11.30
掛軸・彩色山水
400
1,560,000
62.11.30
掛軸・松上鶴
300
1,140,000
62.11.30
掛軸・開運跳鯉
200
780,000
62.11.30
掛軸・四季草花
400
1,680,000
62.11.30
掛軸・富士鷹
700
2,940,000
62.11.30
掛軸・高砂
200
840,000
上記小計
258,847,350
上記期間内取戻返品分合計
差引納入額合計
920,540
257,926,810
別紙
一覧表(二)
発注年月日
納入年月日
品名
数量
納入金額
62.11.13
62.12.2
皮ジャケット・フライト
230
3,588,000
62.11.13
62.12.2
皮ジャケット・フライト
130
2,080,000
62.11.13
62.12.2
皮ジャケット・ベーシック
150
3,030,000
62.11.13
62.12.2
皮ジャケット・トレンディ
147
3,028,200
62.11.13
62.12.2
皮ジャケット・ロンド
302
6,009,800
(注1)
62.12.2
員パール4点セット
6
15,000
62.11.13
62.12.3
皮ジャケット・フライト
407
6,512,000
62.11.13
62.12.3
皮ジャケット・フライト
270
4,212,000
62.9.24
62.12.5
ザ・スリム黒M
2,000
6,600,000
62.9.24
62.12.5
ザ・スリム黒L
2,500
8,250,000
62.9.24
62.12.5
ザ・スリム白M
500
1,650,000
62.12.4
62.12.7
員パール4点セット
1
2,500
62.10.29
62.12.7
油絵・花
200
600,000
62.10.29
62.12.7
油絵・湖
200
600,000
62.10.29
62.12.7
油絵・新天地
100
430,000
62.11.13
62.12.8
皮ジャケット・フライト
500
7,800,000
62.11.13
62.12.8
皮ジャケット・フライト
800
12,800,000
62.11.13
62.12.8
皮ジャケット・ボンバー
790
9,085,000
62.11.13
62.12.8
皮ジャケット・ボンバー
450
5,400,000
62.11.13
62.12.8
皮ジャケット・ロンド
310
6,169,000
62.11.13
62.12.8
皮ジャケット・トレンディ
2
41,200
62.12.8
62.12.9
員パール4点セット
3
7,500
62.10.21
62.12.10
油絵・花
200
600,000
62.10.21
62.12.10
油絵・岸辺
150
450,000
62.10.21
62.12.10
油絵・湖
350
1,050,000
62.10.21
62.12.10
油絵・パリ
100
300,000
62.10.21
62.12.10
油絵・新天地
200
860,000
62.11.13
62.12.15
皮ジャケット・トレンディ
299
6,159,400
62.11.13
62.12.15
皮ジャケット・フライト
400
6,400,000
62.11.13
62.12.15
皮ジャケット・フライト
398
6,208,800
62.11.13
62.12.15
皮ジャケット・ベーシック
98
1,979,600
(注2)
62.12.15
員パール4点セット
4
10,000
62.11.13
62.12.16
皮ジャケット・トレンディ
452
9,311,200
62.11.13
62.12.16
皮ジャケット・フライト
551
8,816,000
62.11.13
62.12.16
皮ジャケット・フライト
396
6,177,600
62.11.13
62.12.16
皮ジャケット・ベーシック
97
1,959,400
62.12.16
62.12.16
員パール4点セット
2
5,000
62.11.13
62.12.18
皮ジャケット・フライト
798
12,768,000
62.11.13
62.12.18
皮ジャケット・フライト
897
13,993,200
62.11.13
62.12.18
皮ジャケット・ベーシック
89
1,797,800
62.12.17
62.12.18
員パール4点セット
3
7,500
62.12.22
62.12.20
員パール4点セット
20
50,000
62.11.12
62.12.25
洗いざらし作務衣
260
754,000
62.11.12
62.12.25
洗いざらし作務衣
140
406,000
62.12.28
62.12.28
毛皮シルバーフォックス
5
780,000
62.12.28
62.12.28
毛布ブルーフォックス
2
115,200
62.12.25
63.1.5
ゲートボールセット
1
2,900
62.10.11
63.1.9
おしゃべり人形
1
3,800
62.10.29
63.1.11
油絵・花
100
300,000
62.10.29
63.1.11
油絵・湖
200
600,000
62.10.29
63.1.11
油絵・新天地
200
860,000
62.11.7
63.1.13
掛軸・武者
600
3,540,000
62.11.7
63.1.13
掛軸・赤富士
600
3,360,000
62.11.7
63.1.13
掛軸・昇龍
600
3,360,000
62.11.7
63.1.13
掛軸・四季花
600
3,540,000
62.11.7
63.1.13
掛軸・雲龍
600
3,540,000
62.12.1
63.1.13
硯セット
1,020
8,262,000
62.11.25
63.1.13
皮ジャケット・フライト
1,301
20,816,000
62.11.25
63.11.13
皮ジャケット・ベーシック
701
14,160,200